【米国銘柄分析】P&G世界で一番多くの消費者を持つ企業

2021年6月28日投資米国株

どうも,Econです.

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は60年以上増配を続ける配当王銘柄で,米国株投資家の間でも大人気です.
私もP&Gは米国株投資を始めた時からずっと保有しており,思い入れのある銘柄です.

この記事でわかること
  • P&Gの事業概要
  • P&Gの財務諸表分析の結果
  • P&Gの安全域試算結果
  • 今後のP&G投資へのスタンス

P&Gの事業概要

P&Gは世界180カ国以上で事業展開しており,世界中の家庭にその製品があり,日本でも衣料用洗剤のアリエール,柔軟剤のダウニーやレノア,食器洗剤のジョイ,おむつのパンパース,ひげ剃りのジレット等々が展開されており,P&G製品を使わずに一日を過ごすのはなかなか難しいのではないでしょうか.

出典 P&G 2020 Annual Report

上のグラフは事業部ごと,地域ごとの売上比率を示しています.

事業部は5本柱になっていて,一番大きいFabric & Home Careが1/3で,一番小さいGrromingでも約10%あり,バランスの取れた事業構成と言えます.

地域売上を見ると,P&Gは米国企業なので,当然アメリカの売上が一番で,全体の半分ですが,残りの半分を全世界でバランス良くカバーできています.

P&Gの貸借対照表分析

まずは貸借対照表(B/S)の分析からです.

財務諸表分析と言うと,損益計算書(P/L)の分析が大事に思われがちですが,私の中での重要度合いは

B/S > C/F(キャッシュフロー計算書) > P/L

P/Lは,会計上の操作(もちろん,合法)によって数字を修正することができるので,お化粧をして悪い状況を隠すということが結構簡単にできるため,P/Lの分析に頼りすぎると分析が楽観的になりがちです.

一方,B/SやC/Fはそのような修正を加えることが難しいため,P/Lよりも数字の信憑性が高くなります.
なので,もちろんP/Lも分析しますが,私はまずB/SやC/Fをしっかり分析して,P/Lは単独で分析せずに,B/SやC/Fと付け合わせて数字をチェックするようにしています.

本題に戻り,まずは現金残高と現金比率を見ていきます.

P&Gの現金残高と現金比率

上のグラフは過去10年の現金及び現金相当物の残高と,それが総資産に占める割合です.
18年,19年と減少していますが20年に大きく回復して長期的には上昇トレンドを描いていていい感じです.
数字を見ても160億ドル,総資産に占める割合は約13%と流動性は十分です.

次に在庫と資金回収の状況です.

在庫と資金回収状況

在庫,売掛金が急激に増えているということはなく,商品が大量に売れ残っていたり,資金回収がうまくいっていないということはなさそうです.
在庫と売掛金の残高が総資産に占める割合もそれぞれ5%を以下で低位安定していて,健全な状況です.

B/Sの右側に移ります.
業種などにもよるので一概には言えませんが,私は負債比率80%をガイドとして設定していますが,P&Gの負債比率は約50%と健全な状況です.
長期負債がここ2, 3年で増加傾向ですが,割合からするとまだまだ健全な範囲内でファイナンスされていて,すぐに大きな問題になるということはなさそうです.

負債状況

資本の部を見てみると,資本金はここ10年ずっと横ばいの一方で,利益剰余金を着実に積み増しています.
増資で株主に負担をしてもらうのではなく,毎年着実に利益を出して資本が厚くなっているのがわかります.

資本金と利益剰余金

自己株式の額も年々増加していて,P&Gと言えば安定した配当で人気ですが,自己株式購入による株主還元政策もしっかり行われていることがわかります.

自己株式

P&Gの損益計算書分析

P&Gはディフェンシブ銘柄で優等生キャラの代表格ですが,B/Sはまさに5教科すべてをそつなくこなしてしまう優等生そのもので,ツッコミどころがありませんでしたがP/Lはどうでしょうか.

まずはP/L分析の王道,売上高と利益率の推移です.

売上高と利益率

13年から17年にかけては食品事業をケロッグに売却したり,美容ブランドをコティに売却するなど,ブランド整理による減収が続いていましたが,18年以降は増収をキープし,20年の売上高は約700億ドル,まさに巨人です.

利益率を見ると,P&Gは事業売却による特別利益や特損を計上することが珍しくないので結構変動が激しいですが,最新の20年はガイドとする15%を超えています.

粗利率と営業利益率はともに安定していて,ガイド並みかそれ以上をキープできています.

一般管理費が総利益に占める割合は約60%で安定しており,長期的には改善していることが確認できます.

一般管理費の状況

P&Gと言うと一部の超優秀な学生しか入れない企業で,そんな人たちが効率的に働いているイメージですが,それが年々さらに効率化しているというのはちょっと恐ろしい限りです.

上に書いたようにP&Gの純利益は結構変動するので,それに伴ってROEも結構変動しますが,直近ではROE 25%を超えており素晴らしい数字ですし,悪い時期を見てもROEは2桁を確保できていて,効率的な経営ができているのがわかります.

また,ROAと動きが連動していることからも,自己株式で資本を操作してROEをお化粧しようとしているということもありません.

私はもう日本株には投資をしないと決めていますが,アメリカの優良企業の数字を見ると,日本企業の経営効率の悪さが際立ちますね…

僕はもう,日本株への投資をやめることにした

P&Gのキャッシュフロー計算書分析

最後にC/Fを分析していきます.

キャッシュフローの状況

毎年100億ドルを優に超える潤沢な営業キャッシュフローからしっかりと投資を行いつつフリーキャッシュフローを確保できています.

投資の規模感も少なすぎず,かといって公共事業セクターのように利益以上の投資をしなければいけないために負債が膨らんでいくという状況でもなく,とてもいい塩梅です.

P&Gの安全域試算

ここまで財務三表を分析してきましたが,いい数字がたくさんある一方で悪い数字がほとんどありませんでした.

P&Gはいい会社と分かっていたものの,こうやって改めて数字を見ると今すぐに投資をしたいという衝動に駆られますが,そこは誘惑を振り切ってまずは今の株価で安全域が確保できるかを確認します.

最近のP&Gの株価の動きは120ドルから140ドルのレンジをウロウロしていて,直近の株価は約135ドルでPERは23.5で,この数字を使って試算した10年間の安全域が下の表です.

PGの10年間の安全域

縦軸に割引率,横軸は過去10年間のベストシナリオからワーストシナリオまでの6ケースを考えています.

私は米国株投資では8%くらいの割引率を設定していて,参考にするケースは中間値か平均シナリオで,赤丸で囲ったのがそれにあたります.

試算結果ではP&Gの今の条件での安全域は約 -40%でした.
すでに超巨大企業であることを考えても,今後PERが急激に上がるということも考えづらいので,私は,今の株価水準では十分な安全域が確保できないと判断しました.

P&Gへの投資スタンス

今の株価では安全域が確保できない(かつ,ポートフォリオのセクター分散の観点から生活必需品セクターは一休み)ので,追加投資はしばらくしませんが,財務諸表の分析からはP&Gという企業には引き続きポジティブです.

なので,株価の割高が解消されて,ポートフォリオがもう少し平準化されたら,その時は積極的に追加投資を死していきます.



Posted by Econ