テーパリングで長期投資家のボーナスタイムは来るか

2021年8月23日米国株

最近どうにも調子が良くなくてブログの記事更新が滞りがちです.

いえ,体調の話ではありません.この前の大腸内視鏡検査も異常なしだったし,朝ごはんを抜いて一日2食生活を始めてからBMI指数は20を切ったし,体調はむしろ良好です.

じゃあ,何が良くないのかと言うと投資の進捗です.投資のパフォーマンスは問題ないんです,むしろ上出来です.特に5年前にNISA枠で投資をしたナイキ株は3倍以上になっていて,ロールオーバーか課税口座に移そうか贅沢にも悩んでいます.

ただ,最近あまりに株高が進んでしまい,しかもマーケットが加熱していると感じられるので,どうしても米国株を買うスピードが鈍化しています.

上のグラフは去年と今年のドル建て投資額を比較したもので,これを見ると去年は8月までに約32,000ドルを投資していた一方,今年はまだ9,000ドル,月平均にするとたったの1,000ドルちょっとです.去年のロールオーバーで今年のNISA枠を半分近く使ってスタートしたのに,まだまだNISA枠が残っていますし,ジュニアNISA枠もまだ3割くらいしか使っていません.

投資の進捗が芳しくないので,今年の初めに立てた税引き後の年間配当を去年に比べて12万円増やすというKPIも達成は無理そうです.実際,今年8月までの累計の配当額は去年8月までのプラス3万円くらいにしかなっておらず,年間でもプラス5万円くらいで終わりそうな感じです.

ここ最近はダウが過去最高を連日更新しているニュースを見るたびにこれまで投資をした分のパフォーマンスが上がって嬉しい一方で,ますます投資がしにくくなるというイラ立ちのジレンマを感じています.心情的には嬉しさ二割,イラ立ち八割くらいですね.

レバレッジを効かせて投資をしている人からするとバックにFRBがいる今の強気市場はボーナスタイムですが,全額自己資金で投資している長期投資家としてはハードモードです.おかげで投資用ドルは2万ドル以上と流動性はたっぷりです.

そんな中,FRBによるテーパリングが年内に開始可能性というFOMC議事録はちょっと注目しています.

出典:FRBのウェブサイト(単位が百万ドル(M)になっているが正しくは兆ドル(T)と思われる)

上のグラフはFRBのバランスシートの内訳ですが,コロナが蔓延し始めた頃からバランスシートが急拡大していて,そのほとんどが有価証券だとわかります.これは米経済や企業の資金調達を支援するためにFRBが資産購入を通して市場に資金を供給しているからです.Fedは毎月1,200億ドルの債券,それに加えてETFやMBSを購入して毎月大量の資金を市場に投入することで米国経済を支えています.日本の株式市場は日銀のETF購入で支えられた官製相場だと言われていますが,米国市場もFRBに支えられた官製相場です.

日銀とFRBの規模を考えると,今の米国市場は日本以上に官製相場で,そのFRBが年内に資産購入をやめることでマーケットの潮目が変わり,これまでレバレッジを効かせていた投資家にマージンコールの嵐が吹き荒れ,売りが売りを呼ぶというスパイラルになれば,それこそ私にとってはボーナスタイムで,マリオカートで自分がスターを使っている時に誰かがサンダーを使ってくれた時くらいにテンションが上がりそうです.

  • FRBは必要なだけドルを刷ることができるので,今後も大きなリセッションが来た時に去年から今年にかけてやっているのと同じように大量の資金を市場に投入してマーケットを支えればいい
  • 今の低金利をずっと続けて株式相場を高く釣り上げ続ければいい

という主張もあります.私はこれに対して具体的にこういうことが起こると断言できるほど賢くありませんが,この主張は支払い請求が一生来ないクレジットカードみたいなもので too good to be true だと思っています.永久機関は実現できないと証明されていますが,これを証明した人にはノーベル経済学賞を与えてほしいです.

少なくとも,今のようなユートピア(私のように全額自己資金で投資をしている長期投資家にはディストピアだと思いますが)が続くと考えて投資をすると必ずどこかで足元をすくわれると思うので,それに備えた投資を粛々と続けていきます.

上に伸ばせない時期は下に根を張れ,今はそんな時期です.

それでは,また.

Posted by Econ