米国の2大通信会社ベライゾン・コミュニケーションズ【VZ】
今の私の投資における課題はポートフォリオを分散化させることです.なので,既存銘柄以外にも分析対象を拡げて投資対象を検討しています.
今日の対象はベライゾン・コミュニケーションズ (ティッカー:VZ,以下ベライゾン)です.
ベライゾンの事業概要
ベライゾンはAT&Tと双璧を成すアメリカの通信会社です.AT&TがNTTだとしたらベライゾンはKDDIとでも言えるでしょうか.
売上の7割以上をWireless (携帯電話)事業で稼いでいます.AT&Tがタイム・ワーナーを買収してコンテンツ充実にも多角化しているのに対してベライゾンは携帯電話・ネット事業に集中しているように見受けられます.最近ではシカゴで5Gサービスを先行的に開始させたことが話題になりました.
これからの時代,というか既にですが,ネット環境は必要不可欠なライフラインなので,ベライゾンはインフラ企業に近い側面を持っていると言えます.
ベライゾンの主要経営指標
売上高,利益,キャッシュフローのグラフを並べています.金額の単位は全て百万ドルです.
直近の売上高は1,308億ドルです.10年前の売上高が1,078億ドル,日本円に換算すると10兆円を超えており,既に十分大きすぎることもあり,この10年間は年平均2%の成長率で,決して高いとは言えず,成熟企業と言えます.
上にも書いた通り,通信企業はライフラインに近いため,今後の売上高も安定的だと思いますが,大きく成長することも難しいと思います.
過去10年の営業利益の平均は18.2%で,ここ5年で見ると21.1%です.業種により違いはあるので,一概には言えませんが,20%の営業利益率を保持できていれば優良企業だと思いますので,悪い数字ではないですね.
純利益率について,2017年は減税効果で大きく出ているのでこれを除くと,過去10年の平均は7%,過去5年では13.5%です.純利益率が15%を超えているのが望ましいので,もう一息というところですね.
通信事業は次世代規格への継続的な投資が求められるので,投資キャッシュフローは毎年200億ドル弱とかなりの規模です.しかし,営業キャッシュフローでそれ以上のキャッシュフローが安定的に入ってくるため,フリーキャッシュフローは毎年安定的にプラスになっています,いい流れです.
以上から,経営指標に大きな問題はないですね.
ベライゾンの株式指標
下のグラフは過去10年間のEPSと配当です.
EPSは年ごとに凸凹してますが,増加傾向と言えます.また,配当はきれいな右肩上がりの直線で良いですね.増配率でみると減少傾向なのを嫌う投資家がいますが,配当額が増えてくれば増配率が漸減するのは仕方ないことだと思います.
配当額がきれいな右肩上がりの直線ということは,増配額は線形で伸びてきているということなので,私は大きな問題ではないと思っています.
また,現在(2019年7月5日終値)の株価は58.31ドルでPERは約15.5倍,株価が過大評価されているという状況ではありません.
競合他社との比較
銘柄分析では,その企業内だけのタテ分析だけでなく,競合他社と比較してどうかというヨコ分析も大事です.
競合他社としてみるのは米国における最大の通信企業であるAT&Tがふさわしいでしょう.
売上高の規模ではベライゾンの直近の1,308億ドルに対してAT&Tは1,707億ドルでAT&Tに軍配が上がります.AT&Tはタイム・ワーナーのM&Aの影響でここ最近の売上も伸ばしています.
一方,営業利益率を見ると,最近のベライゾンは20%を超えている一方で,AT&Tは約15%,純利益率はベライゾンは13.5%に対してAT&Tは約8%と利益率ではベライゾンに軍配が上がります.また,EPSやROEで見てもベライゾンの方が収益性は優れています.
以上から,規模の面ではAT&Tに劣りますが質の面ではAT&Tよりも優れていると言えます.
ベライゾンの総合評価
バフェット流を投資スタイルとしている私としては,最後に株式の本質的価値を計算するのを忘れてはいけません.
過去の平均PERからベライゾンの本質価値は約170ドルと算出しました.直近の株価が58.31ドルなのでかなり割安と言えますが,この数字を鵜呑みにして投資をするのは少し楽観的すぎます.
なので,過去10年で一番低いPERをもとにした保守的な本質的価値も算出しました.保守的な前提に基づくとベライゾンの本質的価値は約70ドルと求まりました.保守的な前提に基づいても現在の株価は本質的価値に対して割安だと考えています.
以上から,私は今のベライゾンを買いだと考えています.もしベライゾンを保有すれば個別銘柄のポートフォリオ,セクターポートフォリオともにより分散されるので,これは良いことです.
もう少し時間をかけたいと思いますが,投資を前向きに検討したいと思います.
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