分散投資と集中投資はどっちがいいのか?

分散投資と集中投資はどっちがいいのか?
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2022年2月16日投資分散投資

賃貸とマイホームのどちらがいいのか,というのはお金にまつわる永遠のテーマですが,それと同じように分散投資と集中投資はどっちがいいのか,というのも真っ二つに割れがちなテーマです.

私は個人投資家なら基本的に分散投資一択だと思っていて,この記事ではその理由と分散投資の効果を最大化するための戦略をまとめました.

この記事のポイント
  • 個人投資家は集中投資よりも分散投資
  • 理由その1:プロと個人投資家の圧倒的な情報の非対称性
  • 理由その2:プロと個人投資家の圧倒的な分析能力の差
  • バフェットは分散投資否定派だが,結果として彼のポートフォリオは分散投資の理想形
  • 時間こそ,個人投資家の最大の武器.分散投資で退場リスクを減らし,複利効果を享受する
  • 分散投資が個人投資家に適している理由

    分散投資が個人投資家に適している理由
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    分散投資が個人投資家に適している理由は,情報の観点から個人投資家はプロに勝てる見込みがなく,そのためのリスクヘッジとしてい分散投資をしなければ投資で負ける可能性が高いからです.

    投資情報に関しては,個人投資家は

    1. 情報の非対称性
    2. 分析能力

    で圧倒的にプロに負けます.

    まずひとつ目の情報の非対称性についてですが,個人投資家が扱える投資に関する情報は,質・量とも機関投資家やプロには到底及びません

    個人投資家が手に入れられる投資情報はプロにとっては何の価値もない情報ですが,逆にプロは個人投資家がアクセスできないような圧倒的な量の高品質な情報に接することができます.

    そして,質・量とも圧倒的に優れた情報に接することができるプロは,個人投資家では使えないような分析ツールや分析手法を駆使することによって,これまた個人投資家とは圧倒的な分析能力で投資判断を下すことができます.

    簿記1級を持っているので財務諸表の読み込みは得意だとか,英語が得意で米国企業のアニュアルレポートだって読めるなんていう次元の話しではありません.

    個人投資家は質・量ともプロより圧倒的に劣る情報で,これまた圧倒的に弱い分析力で投資をしなければならず,人間がどれだけ頑張っても自動車の速さに勝てないのと同じように,この環境で個人投資家がプロに勝つのは無理です.

    そしてこの状況で集中投資を行えば,個人投資家が負けるオッズは高まります

    そのため,リスクヘッジのためにも個人投資家には分散投資が必要です.

    分散投資を否定 集中投資派のバフェット

    分散投資を否定 集中投資派のバフェット
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    ここで

    「ウォーレン・バフェットは分散投資を否定して集中投資を勧めている.あのバフェットが言うんだから集中投資のほうが良い投資方法なんじゃないか」

    と思う人がいるかもしれません.

    私もバフェット信者ですが,バフェットのこの発言をそのまま受け取るのは危険だと思っていて,バフェットが分散投資を否定できるのは,彼がウォーレン・バフェットだからこそだと思っています.

    どういうことか?

    それはバフェット率いるバークシャー・ハサウェイの投資チームはトップ・オブ・プロの集団ということです.

    バフェットの投資チームにはそれこそ質・量とも世界最高レベルの情報が集まり,それをアイビーリーグを中心とした世界トップレベルの精鋭が分析し,圧倒的な資金力で投資をします.

    個人投資家投資が1次元だとしたら,バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの投資はもう20次元くらいで,もはや比較対象として扱うことが無意味です.

    この違いを考えずに,単に「バフェットが分散投資を否定しているから自分も集中投資でいくんだ」というのははっきり言って無謀以外の何物でもありません.

    それに,バフェットは口では分散投資を否定していますが結果的に彼のポートフォリオは十分に分散されていて,理想的な分散投資になっているのはかなり興味深いところです.

    出典:Warren Buffett’s Letters to Berkshire Shareholders 2020

    上の表は『株主への手紙 2020』で報告されたバークシャー・ハサウェイの保有銘柄ですが,これを見れば生活必需品,一般消費財,IT,金融,エネルギー,ヘルスケア…と十分に分散されていることが分かります.

    確かに個々の投資では大量資金を一括で入れる集中投資になっていても,長い年月をかけて様々な企業に投資をしてきているので,結果的に時間も銘柄も分散されて理想的な分散投資になっています.

    実際にバフェットは自分が亡くなった後,家族が遺産を運用していくことになったら

    「90%をS&P500のインデックスファンドで,残り10%を米国債で運用するのが良いと思っている」

    と言っていて,バフェットの投資スタイルは彼だからこそ出来ているというのを物語っていると思います.

    分散投資と時間

    分散投資と時間
    Image by Aron Visuals from Unsplash

    では,個人投資家がプロに勝てないのかというとそうではありません.

    分散投資でリスクを抑えつつ,個人投資家が出来てプロに出来ないことをうまくやっていけば,個人投資家でもパフォーマンスを出し続けることは可能です.

    個人投資家がプロに勝る点,それは投資期間を自分の好きなように取れるということで,これは情報の非対称性と低い分析能力という個人投資家の弱点を補って余りあるメリットです.

    プロは定期的にパフォーマンスを測られ,パフォーマンスをよくするために利益確定を迫られるケースがとても多いです.

    長期的に持っていれば複利効果も味方してさらに大きな富を将来もたらしてくれる可能性がある投資も,1ヶ月後のパフォーマンス査定のために売らなければいけないのがプロの世界です.

    一方,個人投資家はプロと違ってパフォーマンスをうるさく言ってくる顧客や上司もいないので,自己資金で投資をしている限り,売り時の決定権は自分にありますし,複利効果を最大限味方につけることもできます.

    分散投資によって一発退場のリスクを減らし,時間という個人投資家に与えられた最高の武器を使って,細く長くマーケットに参加し続けて複利効果を最大化することが個人投資家には最善です.

    バフェットも言うように,すぐにお金持ちになるのは難しいですが,長い時間をかけてお金持ちになるのは,そんなに難しくないんだと,最近わかってきました.


    では,また.

    Posted by Econ