テーパリングを理解するために複雑なFRBをマスターする
もしかしたら来週開かれる9月のFOMCでテーパリングが決定されるのではないかというWSJの記事が出ましたね.テーパリングの合意は早くても11月のFOMCだろうというのがマーケットの認識だったので,この報道が出てからダウもナスダックも続落していて,少し相場の潮目が変わった気がします.
米国株投資家にとって,アメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(the Fed)を理解することはめちゃくちゃ意味のあることですが,正直言ってFedはかなり複雑です.
この記事では私の知識整理も兼ねて,アメリカの連邦準備制度を簡単にまとめてみます.
まず,アメリカの中央銀行制度はThe Federal Reserve System: the Fed, FRS(連邦準備制度)と呼ばれています.
そしてthe Fedを構成するのが,Federal Reserve Board: FRB(連邦準備理事会)とFederal Reserve Banks(連邦準備銀行)です.FRBはワシントンにいる7名の理事で構成されておりBoard of Govenorsと呼ばれることも多いです.
一方のFederal Reserve Banksは全米12の主要都市に配置されていて,民間銀行の財務健全性をチェックするのが主な役割です.中でもニューヨークのFederal Reserve Bankはそれに加えて公開市場操作を実行するという特別な役割を持っています.
よく言われるFRBは連邦準備理事会を指すことが多いですが,Federal Reserve Bankの方も頭文字を取るとFRBなので混乱するんですよね….FRB = 連邦準備理事会,と思って読んでいたら実は連邦準備銀行のことだった,ということもたまにあります….
学生の頃使った経済学のテキストにわかりやすい図があったので載せときます.日銀も各地方に支店がありますが,それに似てるなと思います.
ここまででアメリカの中央銀行制度であるthe Fedとそれを構成するFRBとFederal Reserve Bankを見てきましたので,ここでよく聞くFOMCについて整理してみます.
FOMCはFederal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の頭文字を取ったもので,年8回開催される会議です.そう,FOMCは組織ではなく会議体です.
しかし,たかが会議ではなく,FRBの重要な役割の一つに公開市場操作を通して金融市場を安定化させるというものがありますが,その金融政策はこのFOMCで決定されるため,マーケット関係者はFOMCでどんな議論がされたかめちゃくちゃ注目するわけです.
FOMCは12名で構成されており,FRB(Board of Governor) とニューヨークのFederal Reserve bankの総裁の8名が毎回出席し,4名のFederal Reserve Bankの総裁が持ち回りで出席していて,FRBの議長(今ならパウエルさん)がFOMCの議長を担うことが通例です.
the Fed, FRB, Federal Reserve Bank そして FOMCと色々な用語が出てきて混乱しますが,これをしっかり理解してニュースを読むと,結構頭がすっきりしてすんなりと内容が入ってきます.来週はFOMCが開催されるのでこれらの用語を見る機会も多いと思うので,ニュース記事を練習にしてみるのもいいと思います.
では,また.
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