マネーの知識を基礎から整理した

経済クルーグマン,中央銀行

どうも、Econです。

コロナ対策のために財政出動が盛んに行われて、それを中央銀行がファイナンスするという構図が世界各国で見られます。

この状況はしばらく続くと思うので、中央銀行がファイナンスする仕組みを理解しておくことは投資家として大切なので、ここらで一回知識を整理しておきます。


今回使ったテキスト

今回参考にしたテキストはポール・クルーグマンのEconomics (第2版)です。
日本語版でも出版されていますが、英語版ではミクロ経済学、マクロ経済学が一冊にまとまっている一方、日本語版はミクロ経済学、マクロ経済学に分かれて出版されています。

クルーグマンはノーベル経済学受賞者で経済学の権威であり、このテキストは世界中の大学で使われています。
ちなみに私の指導教授もクルーグマンを支持していて、在学中は今回のとはまた違うクルーグマンのテキストを使っていました。

この本は現在第5版まで出ているので、第2版はケースが少し古いですが経済学のエッセンスを学ぶには十分です。
ミクロとマクロが合わさっているので、1000ページを超える大著ですが、クルーグマンの英語はわかりやすいので、結構すんなりと読めます。
やっぱり、知識を得るにはこういう正統派テキストが一番です。




前提となる知識

まず、必要となる用語を定義します。
なお、ここでは原著の用語をそのまま使用します。

  • Money Supply M1: Currency in Circulation + Checkable Bank Deposits + Travelers Check
  • Money Supply M2: M1 + Saving Deposits + Time Deposits + MMF
  • Monetary Base: Currency in Circulation + Bank Reserve

因みに、日経などでマネーサプライと言えばM2を指します。

中央銀行がマネーを供給する手段

「中央銀行はマネーを刷れ!」とか「緩和政策によって市場にマネーがジャブジャブに溢れている」と聞いたことがあると思います。。
通貨を発行できるのは中央銀行だけですが、それでは発行した通貨を中央銀行はどのように供給するのでしょうか。

結論から言うと、中央銀行が国民にマネーを直接供給することはなく、銀行を通して発行したマネーを市中に供給します。
中央銀行が銀行を介してマネーを供給する手段はいくつかありますが、今日ではOpen-Market Operation(公開市場操作)が一番よく使われます。
単にオペレーションとか、オペと呼ばれることもあります。

Open-Market Operation(公開市場操作)の図解

ここからはB/S(貸借対照表)を使って買いオペの手順を図解します。
なお、クルーグマンのテキストではFRBを例に説明されていたのでそれをそのまま使いますが、日本でも日銀がほぼ同じ役割を担っています。

まず、FRBのB/Sです。

資産として政府の負債である国債、負債はMonetary Base (Currency in Circulation + Bank Reserve)です。
FRBは連邦政府から独立しているので、FRBの持つT-billは政府の負債です。

この構図は日本でも全く一緒です。
日銀は政府から独立しているので、日銀が保有する国債は政府の負債です。
未だに国債を国民一人当たりの借金に換算するメディアがいるのには開いた口が塞がらないのですが、国債の債務者は国(政府)であって、国民は債権者です、少なくとも日本では。

さて、ここで政府が財政出動を決定し、そのための資金調達として国債を発行したとします。
その時の流れは次のようになります。

  1. 政府が国債を発行し、それを銀行が購入する
  2. 銀行は購入した国債の代金を政府に支払う
  3. 銀行は購入した国債をFRBに売却する
  4. FRBは購入額の同額をReserve Account(準備金口座)で調整する

ここでのポイントは政府と中央銀行の間で直接のやりとりはなく、銀行を介しての取引になっている点です。
マネーサプライに影響が出てくるのは3, 4でここでの中央銀行と銀行のB/Sで表すと次のようになります。

このB/Sだけ見ると買いオペでマネーサプライは直接的には増えていません
では買いオペでどうやってマネーサプライが増えていくかというと、ポイントはReserveのプラスです。
銀行は準備金を中央銀行に預けておく必要がありますが、中央銀行に売却した国債の額だけ準備金が積み増しされています。
これは銀行にとって、その分貸し出し余力が増したことになり、これが市中に貸し出されることでマネーサプライが増えるという構図です。

なお、売りオペで市中からマネーを引き上げる時は中央銀行と銀行の取引が逆になります。

まとめ

以上が中央銀行がマネーを供給する構図です。
コロナによる景気低迷を刺激するための財政出動、それを中央銀行がファイナンス、という流れは今後もしばらく続くと思うので、この構図を理解しておくのは無駄ではないと思います

最近、銀行はオワコンというのをよく聞きますし、私も「いくらカッコよく描いても銀行ってもう花形じゃないよな~」と思いながら半沢直樹を観ています。
銀行の立ち位置はここ数年でかなり弱くなっているのは事実ですが、銀行は市中にマネーを供給する重要な役割があるので、少なくともメガバンクは生き残るのではないかと思います。
まあ、それでも以前のような待遇やステータスを維持するのは無理だと思いますが。

それでは、また。

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Posted by Econ