家を買わなくて良かったと思う2つの理由

2018年10月20日マネー全般

 

以前,マンションのモデルルーム見学に行った時の記事を書きました.マンション見学は興味本位と,いずれ本当に買うかもしれないという時のための下調べで行ったので,全く買うつもりはありませんでしたが,営業マンが

「Econさんは私が担当したお客さんの中でも,かなり余裕な返済計画を立てられます!!」

と営業トークでうまくノセてくるので,私も「そうなん?嬉しいこと言ってくれるじゃないの,フンフン♪」と満更でもありませんでした.

モデルルーム見学の時の記事はこちらです.

 

本当に検討している状態でこのトークにノセられたら買ってしまうというのもよくわかります.実際,そういう人も結構いるようで,ある人がモデルルーム見学に来たらとても気に入り,その日のうちに上司に翌日休暇を取る連絡をして,翌日は現地見学をして2, 3日で購入の手続きをしたというケースです.また,別のケースでは特に家を買うつもりはなく興味本位でモデルルームに寄ったら良かったので購入を決めたというケースもあるそうです.

前者は行動力があり,私も本当にほしい物件があったらそれくらいするかもしれません.ただ,後者のように行き当たりばったりで買ってしまうっていうのはダメですね.結果的にいい買い物だったとなればいいですが,不動産は気軽に買い替えができるものではないので,後悔した時のダメージは経済的にも精神的にも大きいです.いずれにせよ,人生で一番大きな買い物であるマイホームも,あまり時間をかけずに買う人が結構いることに驚きました.

 

さて,家の話となると,マイホーム購入か賃貸のどちらがいいのかというのは一種の神学論争で,結局はっきりしないことが多いです.それもそのはず,購入と賃貸のどちらが良いかは,その人の経済状況,ライフステージなど置かれている状況によって大きく変わるため,一概にどちらが良いとは言えません.

なので,この記事では私と似たような状況にある人,つまり

  • 未就学ないし小学生の子どもがいる30代~40代前半
  • 現在賃貸.ローンはないが,マイホーム購入となるとローンを組む必要がある
  • 株式投資をしている

という人がマイホームを買った方がいいのか賃貸の方がいいのかについて,お金の面で考えてみます.なお,お金の面で考えるので,子どもが受験するとなった時に賃貸だと融通が聞く,とかそういったことはここでは除外します.

 

結論,私は賃貸のほうが良いと思っています.理由は2つで

  • 金利上昇リスクを織り込んでいるケースはほとんどない
  • 投資ができなくなることで機会損失が生まれる

です.では,見ていきましょう.

 

金利上昇リスク

現金で住宅を購入できるようなお金持ちもいますが,大多数の人にとって,マイホーム購入となると住宅ローンを組む必要がでてきます.私の場合も,見学に行った時に営業マンが色々とシュミレーションをしてくれました.

その中で疑問に思ったのは,頭金の額,返済期間,変動か固定かといった条件は変えてくれるのですが,レートとしての金利の数字は変動の場合でも動かしてくれませんでした.聞くと,今の低金利の状況ではほとんどの人が変動金利を選択するとのことですが,変動金利でローンを組む人は金利が上昇した時のリスクを考えているのでしょうか.

今の金利は異常なまでに低く,これ以上下がることはないでしょう.では,仮に今後金利が上がったらどうなるんでしょうか?

 

私が見た物件に近い例で具体的に見ていきます.

  • 物件金額:7,500万円
  • 住宅ローン:5,000万円
  • 借入期間:30年
  • ボーナス返済:900万円(30万円×30年)

というケースです.これは都内の新築マンションの平均より少し高いくらいだと思います.

 

金利1%のケース

まずは金利1%のケース,比較的現状に近いケースです.この時の返済シミュレーションは下のようになります.

年利1.0%
期間(年)30
借入金(万円)5,000
ボーナス支払合計(万円)900
月額返済額131,872
ボーナス返済額173,995
年間返済額1,930,454
累積返済額57,913,620
利息相当額7,913,620

毎月の返済は13.2万円となります.毎月の返済額がこれ位なら大丈夫そう,と考えてローンを組む人が多いと思いますので,この返済額を基準にして,金利が上昇した時にどうなるかみていきます.

余談ですが,このケースでも利息を約800万円も払わなければいけないんですね.これだけの金額が銀行の懐に落ちるなんてやってられません.なので,私は住宅ローンを組む気は全くありません.

金利1.1%のケース

0.1%上がったケースです.0.1%だから大した影響ないのでは?と思う人も多いと思います.具体的に見てみましょう.

年利1.1%
期間(年)30
借入金(万円)5,000
ボーナス支払合計(万円)900
月額返済額133,764
ボーナス返済額176,517
年間返済額1,958,202
累積返済額58,746,060
利息相当額8,746,060

毎月の返済の負担が2,000円増えました.月2,000円なら負担感が急に増すということはないと思いますが,0.1%増えただけでもこれだけ増えるのです.アインシュタインは,複利の力は人類最大の発見と言ったそうですが,複利は敵に回してはいけません.住宅ローンは複利を敵に回す典型例です.

金利1.5%のケース

0.5%上がったケースです.

年利1.5%
期間(年)30
借入金(万円)5,000
ボーナス支払合計(万円)900
月額返済額141,499
ボーナス返済額186,825
年間返済額2,071,638
累積返済額62,149,140
利息相当額12,149,140

毎月の返済額が10,000円増えました.こうなると,ちょっと負担に感じると思います.ギリギリの家計だと赤字に転落してしまうかもしれません.利息の総額も1,200万円となり,基準ケースから400万円も増えています.

 

また,住宅ローンではボーナス支払いを設定することが多いと思いますが,ボーナスが想定していたよりも,減るということは当然あり得ることです.

もしそうなるとどうなるのでしょうか.仮にボーナス返済を半分にしてみると次のようになります.

年利1.5%
期間(年)30
借入金(万円)5,000
ボーナス支払合計(万円)450
月額返済額157,030
ボーナス返済額93,413
年間返済額2,071,186
累積返済額62,135,580
利息相当額12,135,580

毎月の返済が,元のケースから26,000円も増えてしまいました.これはかなり負担が大きいですね.背伸びして住宅ローンを組んだ人の中には「もう無理,返せない」という人も出てくるかもしれません.

金利2.0%のケース

最後に金利が2%になったケースを見てみます.

年利2.0%
期間(年)30
借入金(万円)5,000
ボーナス支払合計(万円)900
月額返済額151,544
ボーナス返済額200,200
年間返済額2,218,928
累積返済額66,567,840
利息相当額16,567,840

基準ケースから20,000円,負担が増えています.利息相当も1,600万円を超えています.5,000万円借りて1.3倍以上を返さないといけないなんて,私なら想像しただけで吐き気がします.

投資ができなくなる機会損失

住宅ローンを組むとなると,今持っている株式や外貨も売却しなければいけませんし,新規の投資もしばらくできなくなります.これは,毎月の配当が楽しみで仕方ない私にとっては耐え難いことです.

住宅ローンを抱えながら投資をしている人がいますが,私からしたら住宅ローンを抱えている人は投資をする資格はありません.投資には,

  • ローンを追っていない家計状況
  • 生活防衛資金(約1年分の生活費)を確保している

の2つを両方満たして始めて参加できると思っています.

住宅ローン金利が低い今なら,繰り上げ返済するよりも投資でリターンを稼いだ方が得という主張がありますが,投資によるリターンは不確実ですが,住宅ローンとそこから発生する金利は確実ですので,さっさとローンを返すべきです.もし住宅ローンを組みながら投資をして来た人が,住宅ローン破綻しても全く気の毒だとは思いませんね.

まとめ

どうでしたでしょうか.冷静になって計算してみると,最高な状態を前提に組んだ住宅ローンってもの凄くリスクがあると思います.

  • 病気や怪我で,収入が減る
  • 会社の業績が悪く,ボーナスが減る.最悪の場合,リストラされる

こうなった場合,おそらく住宅ローンの返済は破綻するでしょう.

私のシュミレーションも今の状態が続くという前提でのシュミレーションでしたし,そんなバラ色シュミレーションで「Econさん,余裕で返済出来ますよ」なんて言われて浮かれてマンション買ってしまっていたら今頃どうなっていたんだろうとちょっと恐ろしくなります.

住宅ローンの鉄則は,状況が悪くなったときでも余裕を持って返済できるのか,ということです.これが確認できないなら,住宅ローンは組まないほうがいいと思います.

家族を露頭に迷わせないという使命がある以上,やっぱり私には住宅ローンは組めないなと思いました.まだしばらく賃貸暮らしが続きそうです.

 

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Posted by Econ