30年も昔のFIREの起源本は新しい気付きのギフトボックスだった

FIREの起源と言われる本を読んだら,昔の本なのに新しい気付きが沢山あった
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2023年11月12日おすすめ投資本

ここ2, 3年で日本でもFIRE(Financially Independent Retire Early)は少しずつ認知されるようになりましたが,今回,そのFIREの起源になったと言われている本を読みましたのでレポートします.

タイトルは“Your Money or Your Life"で,著者はVicki Robinというアメリカ人女性ですが,驚いたのはこの本の初版は1992年に発行だということです.

FIREの起源になった本ということで,おそらく10年くらいまえの本だろうと読む前は思っていましたが,なんと30年以上前,私が小学校に入学したばかりの頃にFIREの元となる考えがアメリカで形成されていたとは驚きです.

私は英語の訓練も兼ねて洋書で読みましたが,『お金か人生か 給料がなくても豊かになれる9ステップ(ダイヤモンド社)』で邦訳されているので,そっちを読んでもいいと思います.

邦訳本は翻訳の合う・合わない問題がつきまといますが,本屋で邦訳版をパラパラ眺めたところ,翻訳が分かりにくいなどはあまり感じませんでした.

この本で一番の気付き

この本で一番の気付き
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それは,「自分はどんな人生を送りたいのか」を真剣に考えるきっかけを与えてくれた点です.

「仕事が嫌だ」,「会社に行きたくない」とはおそらく九分九厘の労働者が口にするところだと思いますが,FIREを目指すなら「じゃあ,仕事/会社をやめてあなたは何をしようと思ってるの?」と聞かれた時に答えられる必要があります.

そのために,

  • (子どもの時)大きくなったら何になりたいと思っていたか
  • まだ成し遂げてないけどやり遂げてみたいことは何か
  • これまで成し遂げてきたことで,誇りに思っていることは何か
  • もし一年以内にあなたが亡くなるとしたら,どんな一年を送りたいか
  • どんなことに達成感を覚えるか,そしてそれはお金と関係があるか
  • もし働かなくていいとしたら,何をしたいか

といった質問を自分に投げかけてみるのは良い訓練になります.

質問を自分に投げかけることでFIRE後に自分のやりたいことが見つかればFIRE達成のモチベーションがアップしますし,もしかしたら,「仕事そのものは嫌いじゃないけど人間関係(その他,労働環境など)に悩んでいる」という真の問題が見つかって別のアクションを起こすヒントが見つかるかもしれません.

お金 = ライフエナジーという新しい視点

お金 = ライフエナジーという新しい視点
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もう一つ,この本で面白いと思ったのが「お金 = ライフエナジー」という視点で,少し前に日本でもベストセラーになった"Die with Zero"の著者Bill Perkins氏も,この「お金 = ライフエナジー」にとても刺激を受けたと"Die with Zero"の中で書いていたのが印象的でした.

これはどういうことかと言うと,物を買う時に「これは自分の(ネットの)何時間分の時給に相当する買い物か」を考えるということで,お金があればそれを買うために自分の労働時間を提供する必要がなくなり,それだけ自分の人生の時間,つまりライフエナジーを温存できるという考えです.

普段の食料品や日用品の買い物にこの「お金 = ライフエナジー」という考えを適用させようとは思いませんが,この考えを知ってから,高級なものを買う時は

「これを買うために自分は何時間追加で働かなければいけないんだろう,果たしてその価値がある買い物だろうか」

と一度立ち止まって自分に問いかけてみることにしています.

特に20代や30代の若い人は,ここまで読んで「そんな大げさな」と思う人も多いと思いますが,この本には人生の残り時間についてちょっとドキッとすることが書かれています.

たとえば,今40歳の人が80歳まで生きると仮定すると,その人に残された残りの人生は約350,000時間です.

しかし,我々は睡眠・入浴・身支度・食事・移動(通勤)などに日々時間を使わなければいけないので,実際に自由に使える時間は24時間のうち約半分の12時間,そうなると今40歳の人に残された人生の自由時間は約175,000時間となります.

しかも,65歳まで働くとなると約50,000時間(拘束時間:9時間/日,年間労働:220日で試算)が削られるため人生の自由時間は12.5万時間になりますし,仮に70歳まで働くとするとさらに追加で10,000時間が削られて,人生の自由時間は115,000時間と350,000時間の3分の1にまで減ります.

そうなんです,まだ人生には長い時間が残されていると思いきや,実は残っている時間はそんなに多くないんです.

私はこの不都合な真実に気付いた時に,時間あたりの生産性を高めなきゃいけないなと強く感じるようになりました.

まとめ

概念的なお話しばかりでなく,

  • 自分はどんなことにお金を使うと幸せを感じるのかを理解するために,気分が上がった支出にはチェックをつけておく
  • 自分の家計が目指す方向に正しいベクトルで向かっているか確認するために,収入・支出・貯蓄をグラフ化して毎月チェックする

といった具体的なアクションに繋がるような話も沢山盛り込まれているので,実用面でも役に立つ本です.

FIREについてよく知らない人は,よりよい人生とFIREの関係について深くできるようになりますし,FIREについては既によく知っているよ,という人でも私がこの本を読んでそうだったように,きっと新しい気付きがあると思いますよ.


では,また.

Posted by Econ