4%ルールでFIREは無理だと思う
4%ルールでFIREできると思いますか?
9月15日の日経に『FIREの正解、再考の時 インフレ・株安で高まるハードル』という記事がありましたが,私は4%ルールでのFIREは無理だと思っています.
日経の記事ではインフレについて触れていましたが,それよりも大きなファクターが税金です.
4%ルールに潜むトラップをシュミレーションしてFIREの安泰基準を考えてみました.
- 巷で言われる4%ルールは税金を考えていないが,税金の考慮は絶対に必要
- 税金も考慮してシミュレーションすると,生活費の25倍では人生の途中で破綻する恐れがある
- しかし,生活費の35倍あれば税率40%ケースでも十分な資産が残る
4%ルールでFIREは無理だと思う
4%ルールを知らない人のために.
これは「年間支出の25倍の資産を築けば年利4%の運用益で生活費がまかなえる」というもので,アメリカ・トリニティ大学の研究をもとに1998年に発表された論文が基礎になっています.
25倍の計算根拠は
- S&P500の歴史的運用益は年間7%のリターンで平均的な年間インフレ率は3%,差は年利4%
- 年間生活費400万円なら,その25倍の1億円を年利4%で運用できれば,運用益で年間生活費がまかなえる
というものです.
4%ルールに限らず資産運用の話では税金を考慮していないものが多いですが,残念ながら税金は絶対に考慮しなければいけない項目です.
英語にも「死と税金より確かなものはない」というブラックジョークがありますしね.
たとえば,1億円のケースでは,4%のリターンなら税引前の運用益は400万円ですが,税引き後の手取りは約318.7万円です.
税金を加味したシュミレーション
ここから,年間生活費400万円,純資産1億円のケースで金融所得にかかる税率
- 20.315%(現行)
- 25%
- 30%
で50年後に資産がどうなっているかをシュミレーションします.
将来的に金融所得への増税は不可避だと思うので,税率が25%,30%のケースも試算しています.
また,公的年金は全くあてにならないので,年金収入はゼロで計算しています.
50年後の資産は
- 現行:プラス310万円
- 25%:マイナス1,280万円(47年目にマイナス)
- 30%:マイナス2,760万円(44年目にマイナス)
となり,生活費の25倍の資産でFIREするのは将来不安があることがわかります.
現行税率のケースでは,50年後でも資産が残っていますが,100年人生と言われている状況を考えると心もとないですし,25%,30%のケースでは途中でマイナス資産に陥落してしまいます.
昨今の日本の状況を考えると今の税率をキープするのは無理ゲーだというのは誰が見ても明らかで,中長期的に増税されるのは間違いないので,4%ルールは成り立たないと考えます.
FIREの安全域
では,いくらあれば安心してFIREできるでしょうか.
私の考えでは生活費の35倍を確保できれば安泰で,生活費400万円の場合は1.4億円となります.
4%ルールならぬ2.8%(=1/35)ルールですが,切りが悪いので3%ルールとします.
どうでしょうか.
税率が30%のケースでもほぼ資産を減らさずに50年間運用できていますし,仮に,40%まで増税されても,50年後でも約8,000万円の資産を確保できています.
これなら30代でFIREしてもゆとりのある生活を送れるでしょう.
まとめ
シミュレーションには公的年金を全く入れていないので,コンサバなシミュレーションかもしれません.
しかし,私はシミュレーションはコンサバでないと意味がないと思うので,今回の結果を頭に入れて,まずは年間生活費の35倍の資産を目指します.
では,また.
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