VUCAの時代 キャリアを考えて敢えて昇進しないという選択
最近,日経の記事でも連載されていましたが,これからはVUCAの時代と言われています.
VUCAとは聞き慣れない単語ですが,
- Volatile:変動する
- Uncertain:はっきりしない
- Complex:複雑な
- Ambiguous:曖昧な
の頭文字を取ったもので,いうなれば「変化が激しく,先が見通しにくい時代」という感じでしょうか.
VUCAという単語は聞いたことがなくても,考え自体はよく言われている,馴染みのあるものだと思います.
敢えて組織で昇進しないという考え
さて,このVUCAの時代に敢えて昇進を目指さないキャリア形成という考えはあっていい ¹ と思います.
これは「責任が増えるのが嫌だから昇進したくない」とか「昇進しても全然給料が増えずに忙しくなるだけだから嫌だ」とかいうネガティブな理由から昇進をしないのではなく,自分の生き方を考えてポジティブに昇進しないことを選ぶ,ということです.
1 私は昇進を目指すことを否定しているわけではありません.一つの組織に長くいることを前提にして,その組織内で結果を出すことに力を注いで上を目指すことも立派です.私が言いたいのは,ネガティブな理由ではなく,ポジティブな理由から敢えて昇進をしない選択というのもあってよいと思うということです.
10年くらい前なら,昇進の話を断れば,キャリアを真剣に考えていないのかと言われたと思いますが,終身雇用が崩壊し,定年まで一つの会社で勤め上げるということが当たり前ではなくなった今,転職を3回,4回と繰り返す人も珍しくありませんし,40代以上で転職なんて無理と言われてのは過去の話で,今では40歳を過ぎての転職も当たり前です.
副業や独立も珍しくないですし,組織で働くことから個で働くことを選ぶ人もいます.
キャリア分散とスキルポートフォリオ
このように,一つの会社や組織でキャリアを終えることが当たり前でなくなった今,その組織の中だけでキャリアを考えるのではなく,キャリア分散という考えが大事になってきます.
その組織でキャリアを築くために必要なスキルや知識だけでなく,もっと広い視点で見た時に自分はどんなスキルポートフォリオを持っていて何ができるのかということです.
スキルポートフォリオを考えるときは,仕事だけでなく,趣味のスキルも考えます.
例えば絵を描くのが得意でイラストを描いたり絵の講師という副業が考えられますし,趣味で音楽をやっている人はサークル等に参加することで思いも寄らない人脈が広がるかもしれません.
そして,スキルポートフォリオを充実させるためには当然,時間と労力が必要ですが,昇進するとそれが難しくなります.
昇進をすれば当然責任も増え,仕事も忙しくなり,仕事以外に割ける時間は必然的に少なくなり,そうなると新しいことを始めたり,今あるスキルをさらに磨くための余裕が少なくなり,スキルポートフォリオを充実させることは難しくなります.
そうならないために,敢えて昇進を選ばず,自分のスキルポートフォリオを充実させるための余裕を確保して他のキャリアの準備をするというのはVUCAの時代にあっていいことだと思います.
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