逆イールドがなぜリセッションのサインなのか
「逆イールドになるとリセッション入りの可能性が高い」というのを聞いたことがあると思います.
逆イールドを理解するためには
- イールドカーブ
- 長短金利
- 長短金利の決まり方
といった経済の基礎的なことが網羅できるので非常に学習のコスパがいいので,この記事で掘り下げて見たいと思います.
- イールドカーブ:x軸に償還期間,y軸に債券の利回りを取ったグラフ
- 逆イールド:イールドカーブが右下がりの状態
- 逆イールドは投資家が将来の景気悪化を織り込んでいる状態
- 今の状況は,短期では景気拡大,長期ではリセッションが想定されている
- 逆イールドを確認したら「休むも相場」
イールドカーブとは
逆イールドを理解するにはまずイールドカーブを知ることが必要です.
イールドカーブとはx軸に償還期間,y軸に債券の利回りを取ったグラフのことです.
通常は長期金利のほうが利回りが高い場合が多いので,イールドカーブは青線のような右上がりの曲線になり,これを順イールドと言います
ちなみに,イールドカーブの傾きが急になることをスティープ化,逆に緩やかになることをフラット化といいます.
一方,イールドカーブが赤線のように右下がりの状態は長期金利の方が低い状態で,これが逆イールドです.
短期金利と中長期金利
- 短期金利は短期国債(T-Bill)の金利
- 中長期金利は中長期国債(T-Note)の金利
T-NoteはT-Billに比べると知名度が低いですが,米国政府が発行する償還期間が2年以上10年以下の利付債のことです.
そして,短期金利と長期金利で大事なのは金利の決まり方が違うという点です.
結論を言うと
- 短期金利:中央銀行が決定する政策金利に影響を受ける
- 長期金利:マーケットの相場観で決まる,中央銀行は長期金利を直接動かせない
「FOMCで政策金利の利上げ決定」,最近よく聞きますが,これは短期金利のことです.
じゃあ長期金利はどう決まるかと言うと,それが下の式です.
$$(1+r_n)^n = \prod_{i=0}^{n}(1+{}_i r_1)$$
$$r_n = n年物長期金利,{}_i r_1 = i年後の1年金利$$
たとえば,10年物長期金利は
- 左辺:10年物長期金利の10乗
- 右辺:今年,1年後,2年後…それぞれの1年物金利の積
が等しくなるように設定されます.
この長期金利の決定式が,逆イールドを理解するためのキモになります.
逆イールドが景気後退のサインの理由
長期金利は今年,1年後,2年後…それぞれの1年物金利の積で決まるのを見ました.
なので,長期金利が短期金利を下回っている状態,つまり逆イールド状態では,マーケットが将来の金利引き下げ(景気後退)を意識しているということです.
イールドカーブはいわば投資家の考えを一本の線にしたものなので,これが逆イールドは将来の景気後退のサインと言われる理由です.
現在のイールドカーブと対処法
2022年11月26日のイールドカーブは上のグラフのように1年物をピークに山なりになっています.
これは投資家が
- 1年以内の短期であれば景気拡大
- しかし,1年以上の長期であればリセッション
を意識していることを表していて,長期では逆イールドが確認できます.
なので私は
- 投資を控えてキャッシュを積み増す
- 投資をするにしても景気敏感株を避けてディフェンシブ銘柄に投資する
を心がけています.
最近はマーケットも少し回復してきましたが,イールドカーブを見ると投資家は長期では警戒しているので,あまり積極果敢には投資をしないようにしています.
まとめ
- イールドカーブ:x軸に償還期間,y軸に債券の利回りを取ったグラフ
- 逆イールド:イールドカーブが右下がりの状態
- 逆イールドは投資家が将来の景気悪化を織り込んでいる状態
- 今の状況は,短期では景気拡大,長期ではリセッションが想定されている
- 逆イールドを確認したら「休むも相場」
イールドカーブは景気の体温計,これがわかれば経済を見る目が変わると思います.
では,また.
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