【米国株】真の配当王は誰か調べてみた

2021年5月17日配当

どうも、Econです。

コロナ禍による業績不振で株主優待を見直す日本企業が多いようです.
私は日本株も米国株も持っていますが,日本企業には株主利益を尊重する文化が全く根づいていないことに嫌気が差して日本株から撤退しました.

一方,米国企業は株主利益を優先する文化が根付いているので増配や自社株買いで株主に還元をしていくことが当たり前です.
特に配当については安易に減配,まして無配にすることは経営者として無能のレッテルを貼られ,厳しく糾弾されることになるので増配のインセンティブが働きます.

そのため,S&P 500の中には50年以上増配を続けている配当王と呼ばれる企業が沢山存在し,そのリストを見たことがある人も多いと思います.

しかし,そのランク付けは連続増配年でされていることがほとんどで,期間も大事ですがどれだけ増配してきたかという額も大事だと思います.
例えば連続増配期間は長いが毎年の増配は0.01ドル,という企業は50年増配を続けても増配額はたったの0.5ドルにしかならず,たとえ配当王であってもこのような企業を魅力的と思う人はあまりいないと思います.

最近P&Gが配当を約10%アップを発表しましたが,このように期間でも金額でも積極的に還元をしてくれる企業こそが真の配当王で,この記事では増配期間と増配金額の両方から真の配当王を見つけたいと思います.

配当王リスト

下の表は2020年における配当王リストで,2020年では合計27の企業が配当王リストに名を連ねています.
聞き慣れた企業もありますが,知らない企業も結構多いと思います.
因みに,水色ラインを引いたP&G (PG), ジョンソンエンドジョンソン (JNJ), コカ・コーラ (KO), 3M (MMM)の4つは私も保有していて,大変お世話になっている企業です.

No.企業名ティッカーセクター連続増配年
1American States Water CompanyAWRUtilities66
2Dover CorpDOVIndustrials65
3Emerson ElectricEMRIndustrials65
4Northwest Natural Holding CompanyNWNUtilities64
5Genuine Parts CompanyGPCConsumer Discretionary64
6Procter & Gamble CompanyPGConsumer Staples64
7Parker-Hannifin CorporationPHIndustrials63
83M CompanyMMMIndustrials62
9Cincinnati Financial CorporationCINFFinancials60
10Johnson & JohnsonJNJHealth Care58
11Coca-Cola CompanyKOConsumer Staples58
12Lancaster Colony CorporationLANCConsumer Staples58
13Lowe’s CompaniesLOWConsumer Discretionary58
14Colgate-Palmolive CompanyCLConsumer Staples57
15Nordson CorporationNDSNIndustrials57
16Farmers & Merchants BancorpFMCBFinancials55
17Hormel Foods CorporationHRLConsumer Staples55
18ABM Industries IncorporatedABMIndustrials53
19California Water Service GroupCWTUtilities53
20Stanley Black & DeckerSWKIndustrials53
21Federal Realty Investment TrustFRTReal Estate53
22Stepan CompanySCLMaterials53
23SJW GroupSJWUtilities52
24Commerce BancsharesCBSHFinancials52
25Sysco CorporationSYYConsumer Staples52
26Altria GroupMOConsumer Staples51
27H.B. Fuller CompanyFULMaterials51
Yahoo! Financeより作成

連続増配優等生のP&Gやコカ・コーラも上位につけていますが,上には上がいて,1位はアメリカン・ステイツ・ウォーター (AWR)で,連続増配期間はなんと66年です.
日本企業では花王が32期連続増配で配当優等生ですが,その花王ですらこのリストには全然入れず,配当王の凄さがよくわかります.

Yahoo! FinanceのデータからPythonにて作成

上のグラフは1996年からの25年間における配当王銘柄の配当の変遷です.
Yahoo! Financeのデータを使いましたが,一番古いAWRの66年前からデータがあれば最高だったのですが,Yahoo! Financeで一番古くまで遡れるデータが1995年前後でした.

銘柄によっては上下していますが,これは臨時配当を出した年の配当がジャンプしているためで,それを除けば各企業とも毎年増配を続けています.

ただ,これを見ると1996年では1ドルのレンジの中に全ての企業が収まっていたのに対し,2020年には確かに連続増配はしているものの,配当額がほとんで増えていない企業からここ25年で配当が5倍以上に増えた企業まで,そのレンジは約6倍の6ドルにまで広がり,配当王の中でも勝ち負けがはっきりしていることがわかります.

連続増配年数と増配率の関係

上の散布図はx軸に2020年の配当が2000年の何倍になっているか配当の成長を示した数字,y軸に連続増配年数を取ってプロット取って,各銘柄のセクターで色分けしたものです.

この図からは以下2点が言えます.

  • 配当王にはConsumer Staples (生活必需品) とIndustrials (資本財)が多い.
  • 配当の成長と連続増配年数に相関は見られない

配当王の基準が連続増配50年以上ということで,新しいセクターのITはなく伝統的なセクターが多いのは納得できます.

また,連続増配年数が長いからと言って配当が成長しているかということはなく,やはり真の配当王は配当の成長も考えて決めてあげる必要がありそうです.

増配率ランキング

上の棒グラフは先程の散布図のx軸,つまり2020年の配当が2000年の何倍になっているか配当の成長を示した数字で並べたものです.
これを見ると,ホーメルフーズ (HRL)はこの20年間で配当が10倍以上に成長しているのに対して,ノースウェスト・ナチュラル・ガス (NWN)やカリフォルニア・ウォーター・サービス (CWT)は約1.5倍しか成長できていません.

私が保有している JNJ, MMM, KO, PGはそれぞれ4位,8位,9位,10位で結構いい位置にいるのが嬉しいです.
例えばJNJは私が2011年に買った一番古い銘柄ですが,当時の税引前年間配当が1.96ドルですが,今は4.04ドルとこの10年でも2倍に増えていて,複利のありがたさを実感しています.

一方,アルトリア (MO)は高配当銘柄の常連ですが,この20年で配当は1.7倍にしかなっていません.
やはり主力ビジネスのタバコに強い逆風が吹いていて,いくら価格決定力を持っている企業とは言え,配当に回すための原資が苦しい状況にある
ようで

そして,下の表が配当の成長率でランク付けした配当王のリストです.

No.企業名ティッカーセクター増配年成長率
1Hormel Foods CorporationHRLConsumer Staples5510.61
2Parker-Hannifin CorporationPHIndustrials637.76
3Sysco CorporationSYYConsumer Staples527.50
4Johnson & JohnsonJNJHealth Care586.42
5Dover CorpDOVIndustrials656.12
6Nordson CorporationNDSNIndustrials575.81
7Colgate-Palmolive CompanyCLConsumer Staples575.54
83M CompanyMMMIndustrials625.07
9Coca-Cola CompanyKOConsumer Staples584.82
10Procter & Gamble CompanyPGConsumer Staples644.66
11Lancaster Colony CorporationLANCConsumer Staples584.38
12Commerce BancsharesCBSHFinancials523.62
13Cincinnati Financial CorporationCINFFinancials603.48
14Stepan CompanySCLMaterials533.40
15SJW GroupSJWUtilities523.12
16H.B. Fuller CompanyFULMaterials513.11
17Stanley Black & DeckerSWKIndustrials533.09
18American States Water CompanyAWRUtilities662.99
19Genuine Parts CompanyGPCConsumer Discretionary642.87
20Emerson ElectricEMRIndustrials652.75
21Federal Realty Investment TrustFRTReal Estate532.29
22ABM Industries IncorporatedABMIndustrials531.79
23Altria GroupMOConsumer Staples511.68
24California Water Service GroupCWTUtilities531.56
25Northwest Natural Holding CompanyNWNUtilities641.53


これを見ると,パーカー・ハネフィン (PH),ドーバー (DOV),3M (MMM)が連続増配60年以上かつ最近20年の配当成長も5倍を超えていて,私としてはこれらが真の配当王だと思っています.

最後に

配当王銘柄はどれも魅力的な投資ですが,その定義からどうしても連続増配年数がフォーカスされがちですが,特にここ最近の配当は着実に成長しているか,そして何よりもESGやDXといった観点から,これからの時代に持続的に成長していける企業かどうか,ということを考えて投資をしていこうと思います.

Posted by Econ