最強の投資家になるための実践的ガイド

2023年2月26日2024年3月8日おすすめ投資本

投資の神様レイ・ダリオの“Principles for Dealing with the Changing World Order"を紹介します．

1年前に新宿にある洋書専門の紀伊國屋書店で買って，買ってすぐにざっと読んだけどあまり頭に入っていなかったので，腰を据えてもう一度読み直しましたが，もっと早くに読むべきだったなぁと後悔するくらい内容の濃い本でした．

本の概要

1. 国のプレゼンスや経済が栄枯盛衰する因果関係をサイクルの視点で解説
2. サイクル視点から歴史を検証：オランダ・イギリス・アメリカ・中国のケース
3. サイクル視点に基づいた今後の展望

の3パートで構成されています．

本の肝はパート1で，ここをしっかり読めば投資の神様レイ・ダリオが

• どんな視点から国の経済を分析しているのか
• 経済状況の良し悪しをどうやって判断しているのか

を知ることができます．

パート2はパート1で学んだことのケーススタディで，過去栄華を誇ったオランダやイギリスにもサイクルが当てはまるのを歴史的観点から検証していますが，500年以上歴史を遡って分析するその姿勢には，レイ・ダリオの徹底的なこだわりというか執念すら感じます．

パート3は短いですが，パート1で学んだ視点をもとに，今後の世界経済に対するレイ・ダリオの展望が書かれています．

具体的・実践的なガイド

どうやったらレイ・ダリオが見ているように世界経済を見ることができるか，これが読者が一番知りたいところですが，それに対する具体的なガイドも示されています．

レイ・ダリオは

• 長期負債と資本市場の関係性
• 国内状況
• 外的関係

という3つの要素，そして3つの要素を構成する様々な要因を分析してその国や経済状況を分析して投資判断を下しています．

例えば，国内状況を見る時は

• その国の教育レベルはどうか
• 価格競争力はあるか
• 生産性は高いか

などの細かい要因に分けて，一つずつレーティングしてその国や世界の政治経済的状況の総合的な判断を下します．

また，要因ごとの因果関係を考え，今後どういう流れで世界が進むのかという見通しを立てていきます．

サイクル思考

レイ・ダリオの考えの根底はサイクルで，その国のプレゼンスや経済状況は

上昇→ピーク→下降→底→上昇→…

を繰り返すという考えです．

私が尊敬する投資家ハワード・マークスもサイクル思考で，『市場サイクルを極める』も投資家必読の名著ですが，レイ・ダリオとハワード・マークスではサイクルの捉え方が違います．

	レイ・ダリオ	ハワード・マークス
視点	包括的	マーケットに特化
分析	政治経済的観点から分析	投資家の心理から分析

ハワード・マークスがマーケット特化，どちらかというとミクロ視点で分析しているのに対して，レイ・ダリオはより俯瞰してマクロ視点からサイクルを分析しています．

投資家としては，レイ・ダリオのマクロ視点で投資する国の当たりをつけて，ハワード・マークスのミクロ視点でマーケットを分析して投資判断を下す…なんてできれば理想ですが，そんな境地に達している投資家は世界に何人いるのかな，という感じです．

ケインズが経済に対する長期的見通しを聞かれた時に「長期的には我々はみんな死んでしまう」と言ったように，私もその境地にたどり着く前に投資家としての人生が終わってしまいそうです（笑）．

まとめ

5,000円以上と，決して安いとは言えませんが

• 国の経済をどんな視点から分析すればいいのかに対する新しい考え方
• その国の政治経済の状況の良し悪しを判断するために必要な具体的なガイド

を学べる本で，価格以上の価値はあります．

レイ・ダリオの見方で経済を見ていく分析していくための訓練は必要ですが，この本に書かれているものの見方が身につけば，世界のニュースに対して，自分の投資判断を持つようになり，そうなればアクションも変わります．

考えが変われば行動が変わる．行動が変われば人生が変わる．

この本を読んだ投資家の人生がいい方向に変わると信じて．

では，また．