投資の法則という幻想
投資には,儲けるためのいわゆる「法則」がたくさんありますが,私はそんなものはないと思っていますし,むしろそれに頼って投資をするのは害だと思っています.
この記事では,いわゆる投資の「法則」がなぜダメなのかを掘り下げてみます.
- 投資に法則は存在しない,なぜなら再現性がまったく保証されないから
- 投資(経済)の世界はパラメーターが多すぎてそれを特定することは無理だし,パラメーターに紐づく係数は常に変化していて,それを推定するのはさらに無理ゲー
- さらに,その法則の正しさを実験で確認することもできない
- それでも投資家は自分の仮説を武器に投資をしなければならず,だからこそ,間違った時に撤退するポイント(損切りライン)を予め決めて,そこに到達したら潔く手仕舞う姿勢が大事
投資の法則という幻想
投資の「法則」が幻想にすぎない理由,それは再現性がないからです.
再現性とは,あることを繰り返した時に同じ結果が期待できることですが,投資に再現性はありません.
たとえば,5年前にうまく行った投資を今やっても結果はぜんぜん違うはずです.
自然科学では再現性を示して初めて法則や定理と認められますが,投資(経済学)に自然科学と同じように法則や定理は存在できません.
理由は
- 説明変数(パラメーター)が多すぎるから
- 実験で再現性を確認できないから
の2つです.
説明変数(パラメーター)の多さ
たとえば,株価が決まるためのパラメーターは無数にあって数式化は不可能です.
為替,経済状況,金利,投資家心理など,株価は無数のパラメーターによって決まっていますが,そのパラメーターを全て特定するのは無理ゲーです.
しかも時代が変わるに連れて,新しく発生するパラメーターもあれば消えるパラメーターもあるはずですが,それを正しく数式化するなんて,神でもない限り不可能でしょう.
実験の難しさ
仮に株価を目的変数とする方程式ができたとしても,パラメーターに紐づく係数は時時刻刻と変化していて,それを推測するのはさらに無理ゲーです.
これはどういうことかというと,投資家の心理が株価に影響を与えていても,その影響度は常に変化していて,たとえば5年前なら,株価への影響は1だったものが,今では1.5かもしれませんし,1ヶ月後には1.8かもしれません.
自然科学では実験で再現性を確認できますが,経済の世界で実験はできず,経済学ができるのは過去のデータからの観察です.
そこから起こりそうなことを推測するのですが,その精度の悪さは世の中のエコノミストや経済評論家の結果を見ればわかるでしょう.
あのFRBですら「現在のインフレは一時的なものである」と言って盛大にその予測を外していて,経済に関して世界トップクラスの頭脳集団ですらその精度なのですから,素人の投資の「法則」なんて目をつぶってやるダーツよりひどい結果でしょうし,ましてや再現性なんて全く期待できません.
まとめ
- 株価を決めるパラメーターは無数にあって特定は無理ゲー
- しかもそれに紐づく係数は常に変わるので,それを特定するのはさらに無理ゲー
- さらにさらに,それを実験で確かめることも不可能
そのため,再現性はとても担保されず,投資や経済の世界では存在しません.
それでも,投資家はその不確実な状況の中で自分の仮説を武器に投資をしなければいけませんが,だからこそ、損切りラインをあらかじめ決めておくことが大事になってきます.
自分の仮説が間違った時に撤退するポイントを予め決めて,そこに到達してしまったら潔く手仕舞って次のチャンスに備える,これが私の目指す投資家の姿です.
では,また.
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