年始一括投資は本当に正解か?NISAの成長投資枠の使い方とリスク管理
今年もあと1ヶ月となりましたが,NISAの成長投資枠が残っていて今年中に使い切ろうか迷っている人も多いかもしれません.
複利効果を最大化するためにNISAの成長投資枠は年始に速攻で240万円の枠を埋めるのがいい,という主張を見かけますが,確かにセオリーではその通りなのですが,私はこのNISAの年始一括投資は万人に当てはまるものではないと思っています.
実際,私は今年の成長投資枠は60万円くらいしか使っていないですし,今年の枠を使い切らずに残すのはほぼ確実です.
そんな状況を受けて
- なぜ成長投資枠を無理に使い切らないのか
- 成長投資枠を使う時に気をつけている点
について考えをまとめてみました.
なぜ成長投資枠の年始一括投資をしないか
成長投資枠の年始一括投資は,
- 資産運用を始めたばかりで
- まだ資産規模が小さいため資産規模を拡大するのが第一
- かつ手元に現金が余っている
という人だったり,あるいは240万円くらいならすぐに稼げるという人ならいいかもしれませんが,私はそうではありません.
そのため,次の2点から年始一括投資はしないようにしています.
- キャピタルゲインよりもインカムゲインで定期的なCFを重視しているため
- 時間分散を重視するから
理由1:定期的なCFを重視するから
投資家の年齢が上がるほど残された投資期間は短くなり,そうなるとリスク許容度は小さくなるので,投資経験が長いほどキャピタルゲインよりもインカムゲインを重視する傾向にあります.
私もご多分に漏れずその一人で,資産規模が育ってきたことも相まって,最近は値上がり益よりも安定的なCFのほうが魅力的になってきており,成長投資枠の年始一括投資は,オルカンやS&P500のインデックスファンドを投資対象にしていることが多いですが,これではインカムゲインは期待できず,今の私の投資スタイルには合わなくなってきました.
今は成長投資枠のインデックスは20%程度に抑え,メインを個別株で運用しようと考えていますが,そうなると次で述べる分散の観点から年始一括投資はやめておこうと考えています.
理由2:時間分散重視
成長投資枠でインカムゲインを狙うため,投資対象のメインは個別株,サブでETFやREITも考えていますが,成長投資枠を一気に使って個別株に投資するのはリスキーですし,仮に複数の銘柄に分散投資するにしても,その前までにすべての銘柄の分析を終えておく必要がありますが,仕事をしながらここまで持っていくのは至難です.
個別株ではなく分配金の出るETFに投資するにしても,やはり成長投資枠を一気に振り向けるのは時間分散の点からリスクが高いので,年始一括投資をやろうとは思わないですね.
銘柄・時間・国,この3つを分散させることを意識して投資をしています(国については米国株に偏っているので,少しずつ修正している最中ですが).
成長投資枠との付き合い方
成長投資枠の使い方はそれぞれの戦略によって違ってきますが,私が気をつけているのは次の3つです.
- 成長投資枠の投資資金を確保するという理由で,今保有している銘柄を売却しない
- 成長投資枠を使い切ることを優先して,投資基準や運用ルールから外れた投資をしない
- 成長投資枠での投資を優先するために流動性を犠牲にしてはダメ
成長投資枠での投資資金確保のために保有銘柄は売却しない
今年の成長投資枠を使い切りたいが資金がないから今持っている投資を売却して投資資金を捻出する,これは複利効果を台無しにする悪手だと考えます.
投資はどれだけ長く複利効果を味方につけることが出来るかを競うゲームだと思っているので,成長投資枠での投資のために既存の投資を犠牲にするのではなく,既存投資を大事にして複利効果を大事にしたほうが長期的にはリターンが大きくなると考えています(もちろん,既存投資の将来性が見込めないとか,もっと将来性が見込める投資が見つかったために売却するのはOKです).
成長投資枠を優先して,投資基準や運用ルールを曲げない
自分なりの投資基準や運用ルールを決めている投資家は多いですが,成長投資枠を使い切らなきゃという焦りから基準やルールから外れた投資をするのはご法度です.
『プロはストーリーで買わず,原則で買う』という投資の格言がありますが,焦りの感情に駆られて原則を曲げて売買するようでは長期投資家失格です.
ある程度の流動性は常に確保
成長投資枠を埋めると流動性(手元資金)がなくなってしまうという状況も避けるようにしています.
不測の事態に備えるためにある程度の現金を確保しておくというのもありますが,それ以上に,投資チャンスが来た時に買い迎うための資金は常に手元に残しておきたいからです.
下落相場でお買い得が目立っているのに買う資金がない,これは投資をしていて私が一番ストレスを感じる場面で,こうならないために常にある程度の現金は保有しています.
結果論ですが,コロナショックでサーキットブレーカーが頻発していた時期に買い進んだことで,今大きな果実を受け取れています.
次のチャンスが巡ってくるまで虎視眈々と資金を確保しておき,チャンスが来たら成長投資枠で積極的に投資をする,このイメージをいつも忘れないようにしています.
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