バフェットより60年も前にバフェット流投資をしていた日本人

2022年7月5日おすすめ投資本

本多静六という日本人をご存知ですか?日比谷公園や明治神宮等,多くの有名な公園の設計・改良を手がけて「日本の公園の父」と呼ばれる人物ですが,実は類まれなるお金のセンスを持っていて,お金に関する本をいくつか書いており,彼の著書『私の財産告白』がおすすめなので紹介します.

文庫なので500円程度で買えますが,中身は濃く,非常に投資対効果の高い本です.また,投資知識ゼロでも気軽に読める本です.

著書名『私の財産告白』 本多静六
この本のポイント
  • 収入の一部は必ず貯蓄に回し,身の丈に合った生活で満足できるようになること
  • 不景気の時にこそ貯蓄を大胆に投資すべし
  • 逆に景気がいい時こそ慎重であれ
難易度誰でも読める(投資の知識ゼロでもOK)

本多静六という人

本多静六は埼玉県の秩父生まれで,東京農科大学(今の東大農学部)の教授でした.教育だけでなく植林や造園などの実業方面でも活躍した人物です.

余談ですが,新紙幣の1万円札に描かれる渋沢栄一も埼玉県の深谷出身です.埼玉は偉人を輩出しないと言われますが,本多静六と渋沢栄一の二人が出ているのは,高校まで埼玉で育った私としては嬉しいです.

本多静六の投資手法がウォーレン・バフェットと似ていて「日本のバフェット」と言われていますが,バフェットは1930年生まれたのに対して本多静六は1866年,本家本元のバフェットより60年以上前に生まれています

バフェットの言葉に「私の85%はグレアムで残り15%はフィッシャーだ」がありますが,インタビューなどで「実は本多静六からも影響を受けている」なんて言ってくれたら興味深いのですが.

実践的な教え

私は実践的な本が好きなのですが,この本もかなり実践的です.有名なのは「4分の1貯金」で,「通常収入の25%,臨時収入は全て貯蓄に回す」というものです.当時と今では税や社会保障などの負担率が違うので,この数字を今の日本にそのまま当てはめるのは難しいですが,私は最低でも月次収入の15%を貯蓄するように心がけています.

そして,このようにして貯めたお金を「好景気の時に倹約に励み,不景気の時にこそ大胆に投資すべし」と勧めていますが,これはまさにバフェットの考えと同じです.

“The less prudence with which others conduct their affairs, the greater the prudence with which we should conduct our own affairs."

(他人が慎重さを欠いている時こそ,慎重であれ)

Warren Buffet

他にも,バフェットのバリュー投資に通じる考え方が至るところに書かれていて,バフェット流がスタイルの人にとってはすんなりと受け入れられる考えが散りばめられています.見栄やマウンティングのための消費というのはたぶん本多静六からすると愚の骨頂に見えるんでしょうね.


また,子どもとお金に関する考えも参考になります.親たる者,子どもにできる限りのことはしてあげたいと思いますが,子どもにただお金を残すのは結局不幸になり「釣った魚をあげるのではなく,魚の釣り方を教えること」が大事だというのがよくわかります.この本だけの影響ではないですが,私は子どもには小さい頃から,お金の正しい扱い方と付き合い方を教えていくようにしています.

私の子どもへのお金の教育についてはこちらも参考にしてください.

まとめ

書かれていることは特別なものではなく,言われれば誰もが知っていることなのですが,その基本的なことを習慣化するまで自分に落とし込む難しさに気付かされます.実践的な内容が盛り沢山なのもいいですが,本多静六も典型的な昔の日本人で,今の日本人が残念ながら忘れてしまった高潔な想いを持っていて読んでいてとても清々しい気持ちになります.

また,冒頭書いたように,文庫なので安く買えますし,投資やお金に関する前提知識がなくても簡単に読めます.

本多静六ほどの資産規模を築くのは難しいでしょうが,彼のような生き方ができたら素晴らしい人生になると思います.


では,また.

Posted by Econ