【Disney 2024決算】配当再開で勢いを取り戻すか?Disneyの事業展開と決算を深掘り
Disneyが2024年の決算を発表したのでチェックしていきます.
Disneyと言えば,コロナの蔓延で2020年に無配に転落して,今年の1月から4年ぶりに復配したことでCNBCなどで当時取り上げられていました.
確かに,ロックダウンなどがパーク事業に大きな影響をもたらすのは理解するのですが,旧NISA枠を使って投資をした私としては,4年間無配でNISAの恩恵を受けられないというのはかなり残念でした.
ようやく以前と同じような日常が戻ってきましたが,Disneyの決算はどうなっているか,2025年の見通しも含めてチェックしていきます.
Disneyの事業内訳
Disneyと言えば,何と言ってもディズニーランドに代表されるテーマパーク事業が思い浮かびますが,まずは事業内訳を見ていきます.
Entertainment事業 | Sports事業 | Experience事業 | |
---|---|---|---|
売上高(2024年) | 412億ドル(44%) | 176億ドル(19%) | 341億ドル(37%) |
ビジネス |
DisneyのビジネスはEntertainmentとExperienceの2本柱がメインでそれぞれ約45%と35%,そして残りのSports事業がサブ的に2割をカバーして,3つの事業でバランスが保たれているというイメージです.
Entertainment事業を掘り下げてみる
Entertainment事業で一番の稼ぎ頭はDisney+やHuluなどの動画配信サービスのサブスクリプションです.
特にDisney+はDisneyのコンテンツを独占的に配信できるブランド力は魅力的ですが,サービス開始が2020年からで,NetflixやYoutubeに比べると後発です.
そのため,Disneyというキラーコンテンツでありながら,ユーザーの獲得は一筋縄ではいかず,サービス起ち上げ後しばらくは赤字が続いており,すべてがDisney+による赤字ではありませんが,昨年度このセグメントは25億ドルの赤字でしたが,今年になって1.4億ドルの黒字に転換しました.
2024年度 | 2023年度 | |
---|---|---|
セグメント利益 | 1億4,300万ドル | マイナス 24億9,600万ドル |
Disney+ユーザー数 | 1億2,270万人 (+1,010万人, +9.0%) | 1億1,260万人 |
ユーザー数も1,000万人以上増えていて順調に見えますが,内訳を見ると増加のほとんどがアメリカとカナダのユーザーで,北米以外の海外市場でユーザーを増やすことが今後の課題になりそうです.
Experience(テーマパーク)事業での戦略
パークのチケットにダイナミックプライシングが導入され,ピークではワンデーパスの料金が1万円を超えるなど,高価格帯へのシフトが激しく,パークのチケットが高すぎるという批判もありますが,ブランドイメージが企業価値に直結するため,カスタマーの量より質を求める戦略は間違っていないと思います.
主要経営指標分析
事業概要を掴んだので,続いて財務諸表から主要な経営指標を,特に昨年と比較しながらチェックしていきます.
損益計算書
- 売上高 913.6億ドル(+24.6億ドル, 2.8%増)
- 営業利益 156億ドル(+27.4億ドル, 21.3%増)
- 純利益 49.7億ドル(+26.2億ドル, 約2.1倍)
- 営業利益率 17.1%
- 純利益率 5.4%
先日の記事『【VISA 2024決算】純利益60%を超える収益力 世界的決済ブランドによる圧倒的競争優位性』で営業利益率約66%,純利益率55%というVISAの驚異的な利益率を見るとDisneyの利益率が霞んで見えますが,営業利益率17%は及第点です.
上に書いたDisney+のサービスが軌道に乗ることで,今後営業利益率が20%以上になるのを期待したいところです.
貸借対照表
- 現金・現金同等物 60億ドル(-81.8億ドル, 57.5%減)
- 長期負債 389.7億ドル(-31.3億ドル, 7.4%減)
- 資本負債比率 76.6%(マイナス8.2% pt.)
現金が約60億ドル減っていますが,その背景として
パーク・リゾート事業への投資が約54億ドル,またHuluの非支配株主持ち分を約86億ドル増やたことなどがメインですが,約30億ドル分の自社株買い,また復配による14億ドルのキャッシュアウトなど,株主還元策に動いたことも要因となっています.
長期負債は減り,それとともに財務健全性が改善しているのはいい傾向で,今後動画配信サービスの収益改善が進み,さらに財務が強化されるのを期待したいです.
Disneyの株価
2024年11月22日のDisneyの終値は115.65ドルですが,S&P500をベンチマークとして年初の株価を基準に比較してみました.
1か月前まではS&P500に比べてビハインドだったDisneyですが,11月半ばに発表された決算発表が好感されてS&Pのパフォーマンスを追い越しています.
12月には来年の1月配当がアナウンスされますが,今年の1月に0.3ドルだった配当を7月には0.45ドルへ増配(Disneyは米国株には珍しく年2回の配当)しており,今回の決算を受けて次回の1月配当をさらに増配するのではと期待していて,コロナ前の半期の配当が0.88ドルだったので,それを超えることはないでしょうが,現在の配当利回りが1%を切っているので,0.6ドルの配当で利回り1%は期待したいです.
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